世迷言と備忘録のブログ

世迷言と備忘録を兼ねてるので、感情のまま雑多に書き連ねてます。

京都造形芸術大学の名称変更問題について -在学生の視点から-

はじめまして。

京都造形芸術大学某デザイン科4年生の「やま」と申します。

ブログを書くのは初めてなので読みづらいかもしれません。

この記事は京都造形芸術大学の在学生の視点から現状をまとめたものです。

Twitterで思うところを呟こうとメモをしてしたら、3000字を超えるほどになったので、ブログにまとめて書くことにしました。

また、あくまでも在学生の目線から書いたものなので、読みづらかったり意見が偏ったりしていると思います。あくまでも一個人の意見である、と思って読んでいただければと。

 

京都造形芸術大学(京造、造形大)とは、

2020年4月から京都芸術大学に改名しようとして、京都市立芸術大学京都市長などから批判(というか真っ当な意見)を受けており、ニュースになっている大学です。

 

これ↓が問題になっている京都造形芸術大学の広報です。

https://www.kyoto-art.ac.jp/news/info/467 

これ↓が上に対しての京都市立芸術大学(京芸、京都市芸)の理事長のコメント。

https://www.kcua.ac.jp/20190830_comment/

上の二つをまとめると、

京都造形芸術大学側:『開学30周年を記念して、「造形芸術」の枠を超えて「藝術立国」実現の為に「京都芸術大学」に改名するよ。略称は「京芸」「京都芸大」ではなく、「瓜芸」「KUA」だよ。言うまでもないことだけど、「京都市立芸術大学」さんとは違う大学だからね!それから、今後は付属高校の展開とか、音楽やエンターテイメント、テクノロジー領域などに力を入れていくからよろしくね!』

京都市立芸術大学側:『京都造形芸術大学が「京都芸術大学」に改名するのは本学の名称や略称と同じか酷似しているから、在学生や受験生、卒業生をはじめとする地域の人たちなど幅広い人に混乱を招くことになるから考え直せって抗議したのに。再三やめてほしいと伝えたのに、8月27日に名称変更を発表されて困惑している。考え直して。』

 

ついでに、京都市長からのコメントはこれです。

https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000256990.html 

 

まあ、これらに関しては大人(上層部の人たち)の話し合いが一方的に反故にされたのが8月27日になって広報として表に出た、という事じゃないかと思います。

一個人としては、大学間の”大人のやりとり”は学生が手出しできない事なので、どうしようもないです。京造には学生会などはあるにはありますが、学長などの上層部の大人と話し合いをする場は特になく、偉い人が決めたことを事後連絡的に伝達されることが多いのです。Twitterを見る限りだと、卒業生の方が昔と変わっていないと呟かれているので、その辺の体質は昔と変化ないようですが。

この名称変更によって、たかが30周年の若い大学が、日本初の画学校を前身とする歴史ある大学との混同を狙っているのではないかと思われてなりません。在学生である私でもそう考えてしまうのですから、外部の方からすれば、乗っ取り狙いだろうと考える方もいることでしょう。注釈の部分とか京芸と混同されることがわかりきっているのに、なぜ非常に似た名前にしたんでしょうか。名前って区別するためのもので、既存のものと区別できるようにするのが当たり前のことだと思うのです。特に、教育機関などの公共の利益を目的とする機関であればなおさら。

というか略称や通称って周囲がつけるものですよね。こちらからこう呼べっていうのは違う気がします。

 

正直、大学に対して怒っています。

怒っている理由はいくつかありますが、この件について、自分が一番怒っているのは大学の名称変更についての連絡が『事後報告だったこと』です。

 大学の名称変更って結構様々な物事に影響することだと思うんですよ。所属する在学生や教職員だけでなく、卒業生やその就職先、大学に求人票を出している企業、提携している姉妹校、産学協同プロジェクトに関わる企業など、数え上げてもキリがないくらい。

 名称変更をするのであれば、それこそ一年以上前から学生や教職員にヒアリングやアンケートをとって、改名が噂になるくらい話題にして盛り上げていく事が普通であり、建設的なのではないか?とも思います。公募の形にしていれば、通学部だけで13学科23コースという大所帯の大学ですから、既存の大学と類似することなく「藝術立国」を象徴する名前を誰かが出していたかもしれません。

閑話休題

私は名称変更の件を大学からのメールで知りました。8月27日に。事前のアンケートやヒアリングもありませんでした。まさに青天の霹靂としか言いようがなかったのです。

f:id:sameyaki:20190830213125p:plain

これが8月27日に送られたメールです。念の為メールアドレスは隠してあります。

この件について、在学生や卒業生だけでなく、教職員も知らなかったらしいのです。こんな超重要事項変更の約8ヶ月前に連絡されたことが大学への不信感を募らせているのです。

おかしくないですか?書類やシステムの関係上、一年以上前から準備のために伝達されるべき事のはずなのに。

例をあげるなら、元号の改変。これがギリギリだったために、書類やシステムなどの調整で大変な思いをしたのは記憶に新しい事です。

また、受験生への影響も考えられます。京造はAO入試という制度をとっているため、大学受験が始まっています。すでに合格した受験生がいるとの情報もあります。合格した学生や受験を考えている学生からすれば、大きく混乱する原因になりかねません。高校生からすれば、高校にどこの大学に行くと伝えれば良いのかわからなくなるでしょう。

卒業生も同様です。今まで履歴書に「京都造形芸術大学 卒業」と書いていたのに、(言葉は悪いですが)たかだか30周年の記念で、大学の都合によって、他大学と混同される恐れのある名前を書くことを余儀なくされるのです。正直勘弁してほしいです。また、以前は「芸短大」だったのが「京造」に変わったのに、また変わるのかという意見もSNSで見受けられました。

 

そもそも大学名を変更するメリットは何でしょうか。京都市芸には130年の歴史がありますが、京造は京造で「京造ねぶた」や「京都芸術劇場」、「劇団四季ミュージカル『キャッツ』舞台美術制作プロジェクト」などの活動から、関西の芸大としてはそこそこの知名度はあるはずです。京造の学生だから一緒にプロジェクトをしたいと言っていただける方もいます。大学名を既存の大学と酷似した名称に変更するということは、それまでに積み上げて来た信頼や歴史、知名度をなかったことにする事ではないでしょうか。

 

こういう京芸との揉め事によって、揉め事を起こすような大学に行くのはやめようと考える層がいてもおかしくないと思うんです。特に大学進学という就職に直結する場所を選ぶ上で、不安要素を排除しておきたい層は一定数いるでしょう。それによって大学への入学希望者が減少しかねないのです。そこに少子化も加わり、入学希望者が減ってしまうと、いくつかのコースや学科はなくなってしまうかもしれません。果ては大学そのものが消える可能性すらあります。

 

 次に、略称としてあげられている「KUA」について。これは”Kyoto University of the Arts”の略称のようなんですが、私はこれがあまり好ましいと思えません。京都市芸の英名は”Kyoto City University of Arts”(略称は「KCUA」)です。英語で大学名を言われた時に、”City”の一単語の有無で大学が全く別のものになってしまうのです。こんなのどちらの大学にとっても不利益しかないと思います。

また、今までの英語での略称は「KUAD」だったんですよ。”Kyoto University of Art and Design”の略称です。某デザイン科に所属する身としては、デザイン及びデザイン科が軽んじられているとしか思えません。大学内も階段が多い割にスロープが少なかったりと、ユニバーサルデザインが充実しているとは言い難いですし。情報デザイン学科クロステックコースの専用教室がないらしいという噂も聞きます。もう少し、内部設備の充実を図って欲しいと思います。

 

最後に、音楽やエンターテイメント、テクノロジー領域に力を入れるという話について。京造は”芸術大学”ではありますが、2019年現在音楽に関する学科はありません。エンターテイメントに関しては、舞台芸術学科と映画学科、マンガ学科、キャラクターデザイン学科などがあります。テクノロジー領域について現状大きく関わるのは、先にあげたクロステックコースとプロダクトデザイン学科ですかね。現在でさえ移動中の混雑が激しい程人が多いのに、これ以上人を増やしてどうしたいのでしょうか。

今は力を入れている最中の過渡期だからなのかもしれませんが、大学側はもう少し中身にも力を入れてほしいものです。

 

長文を読んでいただき、ありがとうございました。

 

名称変更について反対の署名運動をされている方がいたので貼っておきます。

全く知らない人ですが、在学生のようなので。よかったらご協力ください。

https://www.change.org/p/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82%E7%AB%8B%E8%8A%B8%E8%A1%93%E5%A4%A7%E5%AD%A6-%E4%BA%AC%E9%83%BD%E9%80%A0%E5%BD%A2%E8%8A%B8%E8%A1%93%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%81%AE-%E4%BA%AC%E9%83%BD%E8%8A%B8%E8%A1%93%E5%A4%A7%E5%AD%A6-%E3%81%B8%E5%90%8D%E7%A7%B0%E5%A4%89%E6%9B%B4%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AE%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E7%BD%B2%E5%90%8D

 

コメント等もありましたらお書き下さい。

 

※一番下に追記があります。

*************************

 

ここからは完全に個人の意見です。ブログのタイトル通り、世迷言です。見ても見なくてもいい話です。ちょっと辛辣な表現もあります。

 

さて。造形大の学費って結構高いんですよ。学科にもよりますが、多分年間約160万ちょっとくらい。割と無理して学費を払ってもらっています。入学前は、工房の設備使い放題で、いい講師や面白いカリキュラム、産学連携プロジェクトがあって、学生価格で良い機材が買えるのならしょうがないかと思っていたんですが。

入学してから、工房を自由に使えるようにするためにはお金を払って講習を受ける必要があることを知りました。講師やカリキュラムは人によります。すげー先生もいますが、普通の先生もいます。ピンキリです。産学連携プロジェクトをやるかどうかも人によります。私は体調を崩しやすかったので、京造ねぶた制作の時にプロジェクトに継続して参加するのは難しいと思ったので諦めました。また、学生価格といってもあんまり安くないし(定価の20%オフ程度)、売ってるものが偏ってます。絵の具などは充実してますが、機材の種類は豊富ではないです。授業直前にマウスやUSBなどのメディアが必要になったら買う程度がいいです。普段使うものを買うなら電気屋さんか専門店で買う方が容量を選べるし質の良いものが買えるはずです。また、探している材料がない、ちょっと違うという時は、取り寄せをしてもらえたり、こういうものがここで売ってるって教えてくれる店員さんもいます。精神的に辛くなったらスクールカウンセラーの所に行くと良いです。でも予約は早めに取らないとすぐにいっぱいになります。動けなくなる前に、おかしいなと思ったらすぐに予約を入れましょう。経験者からの忠告です。

なんか大学紹介になっちゃいましたね。閑話休題

どうやらその高い学費で滝を作ったらしいんですよ。”らしい”っていうのは、その「学費の滝」がある望天館に行ってないからなんですが。Twitterに上がってる写真を見た限り、本当なんだろうな、と。Twitterで「学費の滝」と調べてもらえれば、どういうことかなんとなーく理解をしていただけるのではないかと思います。

大学の名称を変更する為に一体どのくらいのお金が使われたんでしょうね?学園の所有する資産を使った、なんてことはないと思うんですよ。それも元は誰かが納入した学費ですし。

別の話をしましょうか。

三年前くらいですかね。浅草キッド水道橋博士という方が大学に講義に来たことがありました。漫談仕立ての講義でもしてくれるのかと思いきや、講義とは名ばかりの「昔はワルだった、昔はよかった、昔はこうだった」など正直誰が聞いてて楽しいのかわからない、聞いていて面白くないオナニー的な自慢をお話されただけでした。つまらない話に「つまらない」と書いて評価を落とされてはたまらないと思い、話の上澄みのきれいな部分だけをすくいとって水で薄めたような感想を書いて提出しましたが。大学側はこのために一体いくら支払ったんでしょうね?過去の栄光や昔話を聞くために大学に来たわけではなく、あくまで今まで知らなかった新しいことを学ぶために来たんですが。芸能人を呼ぶより、人工知能の研究をする人を呼んで、AIとアートについての今後を熱く語ってもらう方が私としてはよっぽど興味深く聞いていられると思うのですがね。これは個人の趣味も大きいのですが。

上にも書きましたけど、正直コースを増やすとか、名称を変えるとか、芸能人を呼ぶとか、滝を作るみたいなハリボテ外見を綺麗にするよりも、学内の階段の一部でもスロープやエスカレーターに置き換えるとか、ユニバーサルデザインを充実させるとか、古い機材や故障している備品を新しいものに変えるとか、足りてない機材や備品を充実させるとか、印刷機を増やすとか、学生がミーティングなどで自由に使える教室を作るとか、昼食時に座れる場所を増やすとか、学生や教職員がもっと快適に過ごせるようにお金を使って欲しいものです。

 

そういえば学費を何に使ったのかって調べる方法ないですかね?普通の大学だとどうなんでしょうか。その辺りが明確なら「学費の滝」なんて揶揄されることもないと思うんですが。いや、今までそういう書類やデータをもらった覚えがないもので。

 

高い学費(リスク)を払ってる割には恩恵(リターン)と思えるものが少ないんですよ。芸能人はあまり知らないし、自分が中心に学んで制作しているのがグラフィックデザインモーショングラフィックスなどの、パソコン上で完結できるものなので工房もほぼ使う機会がない。そもそもパソコンは支給品ではなく、大学推奨のものを買っただけ。京造ねぶた制作に使う道具も原則は個人購入(先輩と仲良くなれれば譲ってもらえるかもしれない)。泊まり込みで作業することは禁止されているため午後9時(10時かも)くらいには追い出される。印刷機は古いためによく線が入って刷り直しせざるを得ないので、A3サイズで印刷する必要がなければ自宅のプリンタで印刷する方が効率的。4年生になると学食もあんまり行くことがない。3DCG関係の講義は定員いっぱいでやりたくても入れず、Webコーディングの講義も定員いっぱいで同様に入れず。

2Dより3Dができる方がもてはやされるこのご時世に、3D関係の講義が希望者全員履修可ではなく定員制っておかしくないですか。その講義を受けている人にどういうソフトを使っているのかを聞く事しかできず、現在(自費で)教本を買って勉強しています。Webコーディングもどうしても勉強したくて、本職の人に勉強の仕方を教えてもらって、独学でHTMLをなんとか使えるくらいにはなりました。

ただ、独学はかなり大変で、講義形式で順序立てて教えてもらった方が頭に入るし、時間が無駄にならず、さらに単位も取れるんですよ。その方が確実に恩恵があるじゃないですか。あと、勉強したいことができないってかなりストレスなんですよ。他にも要因はありますけど、胃は荒れるし不眠症になるし。

また話がそれてしまいました。閑話休題

 

京都造形芸術大学であることによるメリット”があんまりないんです。学食が安いとか、購買で少し安く物が買えるとか、他大学でも同様だと思うんです。大学生協に入っている大学なら3DCGに関する技術書をネット通販より簡単に手に入れられるかもしれません。少なくとも、普通の大学は学費で滝を作るようなことはしないでしょう。メリットと言えば工房の設備がちょっといいって事と一部の博物館や美術館に割安で入場できる事、就職支援がちゃんとしてる事くらいですかね。他大学の就職支援についてはどうなのかわかりませんけど。工房はーショングラフィックスだと、卒業制作の展示台を自作するくらいでしか使う機会がないですけど。

 

そもそも、略称として「瓜芸」ってどうなんでしょう。多分「京芸」関連の言葉が商標申請されたために、法人名の「瓜生山学園」からとったんだろうと思いますが、それなら大学名を「瓜生山芸術学園大学」とかにすればいいんじゃないですかね?何で”京都”が必要なんでしょう。藝術立国を掲げるなら、京都というブランドはいずれ不要になるのではないかと思うのですが。

 

正直、名称変更の件といい、会田誠氏の公開講座の件といい、よくないことで有名になるのはやめてほしいんですよね。その件について知らない、関係のない在学生や卒業生などに大きく影響するんですから。

もしかして上層部のお偉方は現代がネット社会であることや世間の潮流を理解できていらっしゃらないのではないですかね。副学長の本間正人氏がSNSで仰っている”最新学習歴の更新”ができていないのでは?”最新学習歴の更新”は現在進行形で学習中の学生に学ばせるよりも、椅子の上で踏ん反り返っている上層部に学ばせた方が社会のためになりそうなものですが。

まあ、副学長の方々は今回の名称変更に携わっていない可能性もありますけどね。

そういえば、学長先生ってお忙しいのかあんまり表舞台に出てこないんですよね。私の代の入学式では祝辞を代理の方が読んでいらっしゃるだけで、お見かけすることはありませんでした。毎年行われる学祭の時も、本間先生や同じく副学長の小山薫堂氏などはよくお見かけするんですけど。まあ、権力はあるけど学生に愛着がないから名称変更を事後報告なんて所業ができるのかもしれませんが。

これはただの妄想なんですが、もしかして上層部はタチの悪い経営コンサルタントに大学の名称変更をすれば儲かるとか言われてるんですかね?炎上商法は積み上げてきた信頼を失うから、大学経営という信頼が根幹にある長期的なビジネスにとって、悪手であるとは考えなかったでしょうか。

あと、これはあんまり考えたくなかったのですけど、瓜生山学園の上層部にとって、我々学生はただの金ヅルなのではないか?と思われてならないのです。何に使われているのかわからないのに、カリキュラムとは釣り合わなそうな高額な学費とか…。私立の大学経営が慈善事業ではない事はわかっていますが、それなら顧客の支払う対価にあったサービスを提供すべきではないかと。。ゲフンゲフン

これ以上書くと、自分がとてつもなく嫌な組織の下で学んでいるという被害妄想のような自己嫌悪に襲われるのでやめておきます。大学から注意を受ける可能性もなくはないので。

 

長々と失礼しました。

 

-----------------------------------------------------------------------------------

文章を書いている最中に京都造形芸術大学の学長、尾池和夫氏のコメントが投稿されていました。

https://www.kyoto-art.ac.jp/news/info/468

違う。そうじゃない。京都市芸の理事長や京都市長は「藝術立国」を理解できないから意見を言ってるわけじゃない。

現状でさえ間違えられるのに、名称を既存のものに近いものに変えるなんてややこしいことをするなという話をしているんだ。

やはり、権力を持つと周りが見えなくなるものなのでしょうか。。。